鍼灸雑話

鍼灸師はまだようによry医療系小ネタ。

在宅マッサージ

昨今、在宅での訪問マッサージ業者が増えております。

 

が、患者さんの声を聞くと必ずしも適切な治療、リハビリとしてのマッサージは行われていないようです。

 

およそ.30分以内の時間でいわゆる慰安的なマッサージを施しているケースが多いようです。

 

どうでも良い場所にまで手をかけてくれるが肝心の疾病に対する施術時間が短い。

 

確かに気持ち良いのだが後で痛みか出る。

 

などの訴えをたびたび耳にします。

 

基本的に。マッサージが健康保険を適用されるのは関節拘縮、筋麻痺などが見られる疾患であることが最前提です。

訪問による出張費の保険適用は歩行が困難か不可能であること。

 

考えたら直ぐにわかります。

このような状態の患者に必要なマッサージとは何か。

いわゆるリラクゼーション店でやるような施術をしたらどうなるか?

 

だいたい健康保険が慰安に適用出来るわけがないんですよ。

 

わたしは約15年間、病院のリハビリに関わり脳血管障害や整形外科疾患、レアなものなら下肢切断後のリハビリ、今なら理学療法士言語聴覚士が行うような高次脳機能障害や摂食指導、呼吸器リハビリまでやりました。

その臨床経験を活かしリハビリを前提にしたマッサージを提供できます。

 

しかし、この辺りも致し方無いところもあります。

 

わたしがこの商売を始めた昭和末期にはリハビリ技師としての病院での求人も多く様々な脳外科疾患や整形外科手術後リハビリに関わる事が出来ました。

 

厚生労働省が医療費の削減のもとリハビリの診療報酬の改定を続けた結果、平成14年頃からマッサージ師や鍼灸師のリハビリ技師としての求人はほとんどなくなりました。

現在の病院勤務されているマッサージ師はサービス目的の徒手消炎鎮痛処置を行うのみで、リハビリに関わる事は無いそうです。

 

ならば、そういった疾患に対する臨床経験も積めずやり方もわからないのは当然ですよね。

 

こればかりはわたしが病院勤務していた時代に感謝するしかないですね。

身体を診ると言うこと

おはようございます。

 

われわれ人様の身体をどうこうして生業とするわけですが、生業≒商法で言うところの業務で有るいじょうは提供するサービスの質とそこに付随する責任と言うものがありますよね。

 

顔を合わせいきなりベッドに寝かせておもむろに揉み始めるマッサージもどきの施術者が意外に多いのも事実です。

 

これは危険なんですよ。

 

例えば腰痛を訴える患者さんが来院された場合はその痛みがどういうタイプの痛みか、どういうプロセスで発現しているか見極める必要があります。

 

なぜなら腰の痛みと言ってもそれが脊柱由来のものか、血管閉塞性のものか、他部位または内蔵から起因するものか、急性か慢性かで全て対処法が違うからです。

 

ドクターと違い光学診断や薬物などによる検査が医師法で禁じられているわれわれですが、伝統的な診断法のみでも丁寧に行う事でかなり詳しい診断が可能なんです。

 

伝統医学の診断法には4つのやり方があり四診といいます。

 

望診

まずは患者を見る。

顔色、肌の艶、目線、身体の動きなどを見るわけです。

私の場合は、『おはようございます。』と店の入り口を入ってきて腰掛けるまでに歩き方、体重支持の整合性などを見せていただいてます。

 

聞診

患者さんの声を聞く事で声質、息使いなどを聞き分けます。

これも最初の『おはようございます。』からすでに見させていただいてますよ。

 

問診

質疑応答ですがジェスチャーを含めて患者さんの微妙な表現の違いから色々わかる事もあります。

 

切診

身体に触れて確かめます。

漢方では腹診と脈診、舌診あたりが重要視されます。

これで身体の状態、証を決定します。

 

陰証・陽証=患者の体調や生命力の状態。からだ全体の反応の性質を示す。
虚証・実証=慢性病患者などの基礎的な体力や性質を示す。
寒証・熱証=からだの冷感・悪寒・熱感などを示す。
表証・裏証=病気の進行状態などを示す。

 

わたしはこれに加え徒手による、または打検器、聴診器などを併用して整形外科的、運動解剖学的にテストを行います。

 

まあ長々と書きましたが実際には重複した過程で行えるものが多いのでさほど時間はかかりません。

 

大事な事は患者さんの些細な一挙手一投足も全て情報にする事です。

 

わたしはこれを 身体の声をきく  と表現します。

昔の町医者は皆さんこれをやってたわけですね。

 

三国志には曹操孟徳の顔色を見た医官の華蛇が脳内の虫を開頭手術で取り除いた話がありましたね。

昔のNHKの人形劇でもこの話ありました。

要するに顔つきから脳梗塞を発見しましたって話ですよ。


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鍼灸治療のエビデンス

かなり乱暴な理屈をいいますね。

 

例えば貴方が転んで膝小僧をすりむいたとします。

よほど酷い外傷で無ければご自身で傷を消毒し絆創膏を貼って終わりですよね。

消毒薬にも絆創膏にも傷を治す効能など無いのですが、そのまま放置していてもカサブタができ傷は自然に治りますよね。

 

人の身体には自ら傷を治す力、自然治癒力があるわけですよ。

 

鍼灸とはまさにそれと同じ。

鍼で身体に刺し傷をおわせる。

お灸で軽度の火傷をおわせる。

 

身体はそれを治すために自然治癒力を発動させます。

 

わたしはと言えば、その治癒力が正しく働く様にコントロールする。

そのコントロールのやり方を古来より得系的にまとめた理屈が鍼灸治療の理論です。

 

昨今はいろいろな方が鍼灸エビデンスについて研究されてますが、つまるところ基本は単純なんですよ。


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